こんにちは。
今日は、私の書道と紙についてのお話をいたします。
私の仕事は、ギャラリーと文化教室が担当です。
1月4日から15日まで、「紙本の絵画展」という、東京藝術大学日本画科の先生方が、通常お使いにならない紙(今回は伊勢和紙)の使い心地や、作品制作においての研究について、作品とともに発表していただくという大変貴重な展覧会です。 1月10日(祝日)には、その先生方と、伊勢和紙の作り手さんにお集まりいただき、ギャラリートークが行われました。

先生方の研究経過発表のなかのいくつかには、
「今回使用した伊勢和紙は、毛羽立ちが多く作業しずらかった。」
などの感想もありましたが、一方で、
「書きにくいから悪い紙という訳ではない。どんどん書き良い紙になってしまうと、逆に面白みがなくなってしまうということもありうる。」
というご意見もあり、私は、後者のご意見に大変共感を覚えました。

お伝えいたしましたように、昨年秋の二人展では、普段使ったことのない、反古紙の漉き返し紙に作品を書きましたが、これがまたものすごく書きにくい紙でした。

紙漉き職人の平澤さんに無理やりお願いして、塵をたくさん残して、手漉きの素朴な雰囲気を出した紙に仕上げていただきましたので、紙そのものの雰囲気は想像通り、希望通りのものでした。
ところが、いざ筆をとってみると、紙のめが荒いせいか???墨を一気に吸い込んでしまうので、滲みも出なければ、墨もちも悪い、、、いつものようには、全く書けないのです。作品出来るか??最後まで心配でした。「もっと書きやすい紙に書いたら!」とのご意見もいただきましたし、 途中で何度止めようかと思ったかわかりません。

が、書いていくうちに、
「これはこれだ!」
「この紙だからこそできる作品があるに違いない!」
紙をやっつけるのでもなく、紙に負けるのでもなく、紙と対話しながら書いてみよう!

そう思ったら、なんだかとっても楽になれて、良しにつけ悪しけにつけ、自分なりに満足のいく作品に仕上がったような気がしています。

二人展_日水土
 
上から順に、「日」「水」「土」です。
皆様にはどう感じられるでしょうか???